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【A039】枕詞の空間 時間:114分 音質:4 ジャンル:文学 講演日時:1977年7月6日 主催:詩誌「無限」事業部 場所:明治神宮外苑絵画館文化教室 収載書誌:中公文庫『語りの海3 新版・言葉という思想』(1995年) 音源について 詩誌「無限」を発行していた 株式会社無限主催 「無限アカデミー・現代詩講座」 での講演。 ライン録音されたものではないが クリアに収録されている。 講演より 宮沢賢治に「林と思想」という詩があります。 この詩の根源的情緒は、昔の人のいい方でいえば、 霧をいう場合に「ほのゆける霧」、あるいは 「いさらなみ霧」と表現されたものだと思います。 大昔においては、現在では意味がつかめない言葉を、 枕詞として上につける習慣が詩に限ってあったのです。 この「いさらなみ霧」の情緒と、 宮沢賢治の詩の情緒というのはまったく同じです。 ただ古代人たちが自明の理として考えた 眼に見えないポエジーの空間──ふたつの言葉を 並べることによってそのあいだに 想定したポエジーの空間──だけを再現し、 再現の結果としての「ほのゆける霧」あるいは 「いさらなみ霧」という表現を拒否しているのが 現代の詩だとみなしますと、 現代詩に対するひとつの一貫した考えに なるのではないかと思います。
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